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スダレ・箒 松本商店

昭和2年に創業し、秋〜春に箒(ほうき)、夏にスダレをつくる職人の店。掃きだし口(窓)がない住宅の増加や掃除機の登場から国産箒が減少。それに伴い原料をつくる箒草農家も減少しているなか、100年近くずっと同じ場所に店を構え、丁寧なスダレ・箒づくりを続けています。原料は国産にこだわり、入手困難な箒草に関しては2011年から群馬や茨城に足繁く通って、土を耕し、種を蒔き自家栽培に励んでいます。
2代目の娘である飯塚明子さんとご主人の美知男さんが家業を継いだのは、2人が50代の頃。スダレと箒の両方を手がけるという近年の東京では唯一の存在であった2代目が倒れたときに、この文化を残したいと夫婦共に一念発起。ご主人・美知男さんは定年を待たずに退職します。店に出ることはあっても作り方は習っておらず、2人は松本商店のスダレ・箒の再現に力を貸してくれる職人探しからスタート。2代目が残したアドレス帳とインターネットだけが頼りのなか、2代目が懇意にしていたスダレ職人と、長野で暮らす高齢の箒職人からなんとか教えてもらえることに。その後、レクチャーを受けた職人の動画を何度も見たり、先代がつくった箒を解体したり、先代の取材ビデオを見たりと研究を重ねたことで、ようやく夫婦そろってスダレ・箒がつくれるようになったといいます。そんな2人が完成させるのは、竹(焼きヒゴ・磨きヒゴ)・ヨシ・箒草製の見るだけで清々しくなるようなスダレと、自家栽培の箒草をたっぷりと使ったしなやかで耐久性の良い箒。特筆すべきは、その色です。風通しの良い日陰でさまざまなことに注意しながら乾燥させて、箒草本来の美しい色に仕上げています。
約100年、東京でスダレ・箒職人の文化を伝え続ける松本商店にぜひ足を運んでみてください。

海外産箒と国産箒の違いとは?

国内外のどちらでつくられたものも全体的に上手につくられているものが多く、パッと見ただけでは区別しづらいかもしれません。ただ、海外の原料でつくられる箒は、青々とした箒草の色を演出するために脱色・染色しており、パサパサと乾燥しているものが数多く見られます。また、箒草の選別があまく全体の感触が堅いものも。さらに、箒草をたっぷり使っているものも多くはありません。そのため、箒を手で触ってみて、箒草の量が多くしっとりしているものが国産箒の目安になります。

買えるもの:国産の原料にこだわるスダレ・箒

※一部、輸入商品も扱っています。

※2011年から夏季は農作業をしているため、在庫にないスダレは2週間以上お待たせする場合があります。

 

スダレ・箒 松本商店

住所:東京都品川区荏原2-17−12
営業時間:9:30~17:00
店休日:不定休 ※夏季は、農作業で休みが多いです。

・ショールーム(展示・販売)

写真の茎は、穂のついた箒草を使い終わったもの。箒づくりでは、茎を一晩水に浸け柔らかくしてから細工します。写真のようなガラ(端材)も、貴重な箒草のパーツのひとつ。全体の形を整えたり補強したりしなやかさを出すために、内部の見えない部分で活用されます。

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