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地域のコネタ

11月は、漆愛用月間。ということで、ふたたび漆のことをお伝えします。

漆工芸をつくる職人には漆塗りの職人の他に、10~20年ほど育てた漆の木から1年で漆をとりきる「漆掻き職人」がいます。

採取方法は非常に根気のいるもので、まず漆の木にカンナで一文字にキズをつけます。4,5日すると、キズを修復するために木からごく少量の樹液(=漆)が出るので、それを掻きとる。これをひたすら繰り返します。職人の技術にもよりますが、ある漆掻き職人が1本の木から採れる量は約200ml。対する、お椀に塗られる量が約30ml。そのこともあり、漆の一滴は汗の一滴ともいわれるそう。漆掻きが終わると、チェーンソーで木を切り倒し、新芽を待ちます。

キズのつけ方、掻き方ひとつで、漆の色艶が異なるという非常に奥が深い世界。家業を継ぐひともいますが、漆塗り職人やサラリーマンから転職し長く続けるひともいるようです。岩手県二戸市、浄法寺(じょうぼうじ)町は、昔から漆の木が豊富な土地。職人の高齢化が進んでいるものの、若い方もいるようです。興味があるひとは、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。