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羽二重餅

(福井)

菓子店→街の人

羽二重を辞書でひくと、
「なめらかでツヤのある真っ白な絹織物」と書いてあります。
名前にある”二重”とは、たて糸のことで、
通常は1本のところ、細い2本の糸で織り上げていくことで、
世界中で美しいと重宝される
なめらかな織物“habutae”に仕上がるそう。

産地の一つに、福井があります。
それは、年中、昼夜の乾湿の差が少なく絹織物作りに適した環境だけでなく、
地元の人たちの長年にわたる努力の賜物からでしょう。

発展を遂げたきっかけは、
1601(慶長6)年、松平秀康の越前入り。
当時から作っていた絹織物の衰退を懸念し、
ネーミングの変更、品質改良、販路拡大、
さらに、藩士の内職として奨励してしまうという、
いわば、藩をあげての羽二重キャンペーンを始めます。

これが功を奏し、幕府の献上品に。
すると、その評判から、年間生産量1万疋を達成し、
衰退ぎみだった産業が、藩の財政基盤となるまでの発展をみせます。

1871(明治4)年には、
旧藩士・由利公正が欧米を視察し、
多くの絹布見本を持ち帰ったことから、
より一層生産が盛んになり、
1887(明治20)年には
海外からも品質の良さを認められるまでに。
長年に渡る地道な努力が実り、
羽二重は、世界に誇る逸品にまでのぼりつめたのです。

しかし、実際に使う人は
地元ではなく、都会や海外の人たちばかり。
作り手でありながらも、
高価で、手に入れることが難しく、
手土産にもできない歯がゆさを感じていたんだとか。
そのため、福井にある様々な菓子店から、
羽二重に似た餅菓子が発売され始めたといわれています。

じつは、京都の”ちりめん”と”ちりめんじゃこ”も、同じ。
”しぼ”という味わいのある凹凸を持った真っ白な絹織物・ちりめんに手が出ない庶民が、
ちりめんじゃこを食べてたのしんだといわれています。

羽二重餅は、水分をたっぷり含み、きめ細やかでやわらかく、非常に上品な菓子。
ですが、材料は、米・砂糖・水飴のみ。
たった3つの材料を丁寧に練り上げることで、
絹のようになめらかなおかしを作り上げるのだから、
絹職人に負けじとがんばる
菓子職人の技とプライドの高さがうかがえます。

※ネーミングの変更「玉紬」→「北荘紬」→「奉書紬」

 

 


羽二重餅(福井)

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