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みまつ食品 × 廃棄キャベツ

廃棄物から生み出した、
社内の活気と地域の土産。

要約すると…

  1. キャベツの名産地・群馬にある食品会社の開発担当者が、餃子の製造工程で廃棄されるキャベツに悩んでいた。
  2. 開発担当者が“廃棄キャベツを生かすお土産”をテーマに、若手社員に挑戦する場を与えた。
  3. 2つのヒット商品が生まれ、会社に活気が出ている。

1日約100kgの廃棄キャベツ。

契約農家からキャベツを仕入れ、餃子の製造に1日約6tもの量を使用するみまつ食品。どんなに質の良いキャベツであっても外葉や芯は、廃棄していました。その量、1日100kgほど。営業本部 兼 開発部の古澤さんは処分費用だけでなく、農家の方が大切に作ったキャベツをすべて使い切れないことに頭を抱え、クッキーやパン、ケーキ、アイスやうどんなどキャベツの新しい活用法を他業種の方とともに探っていました。

旅先で見かけたものを、ヒントに。

そんな時、古澤さんはSL好きのお子さんと家族旅行に出掛けます。そこで見かけたのが、SLサイダー。リサーチすると、地サイダーは全国的に人気があり、群馬には競合がない。そして、“炭酸×野菜”というミスマッチな商品もあまり多くないことがわかります。そこから、キャベツサイダーの完成に向け、幅広い部署の若手に声をかけ、プロジェクトを本格的にスタートさせます。

若者にチャレンジの場を。

古澤さんが若手に声をかけたことには、こんな理由がありました。ひとり廃棄キャベツの使い道を思案していた時、社内では研修制度がスタート。インプットだけでなく、アウトプットする機会を創り出してあげたい。そして、今は昔と比べると若者に失敗を許してくれる機会が少ないことを日頃から危惧しており、社内に部活を立ち上げる感覚で若手にチェレンジする場を与えます。

そこからは、“農家の方が大切に作ったキャベツをすべて使い切ること”、“群馬を代表するお土産となること”を大きな柱に、商品を具現化していきました。最も苦労したのは、3年を要したキャベツエキスの抽出。低温でゆっくり濃縮することで、やっとキャベツ本来の風味を引き出すことができました。さらに、エキスと炭酸との調合、甘さやキャベツ感の調整、群馬を感じさせるパッケージデザイン…。メンバー全員が、本来の業務にプラスするような働き方で、2017年夏、発売までこぎつけます。

販売、リサーチから、第2弾へ。

販売してみると、そのユニークさから取材が殺到。すぐに人気商品の仲間入りを果たします。倉庫からどんどん出荷されるところを若手が目の当たりにできたことで、活動にますますのめり込むという好循環が生まれました。

様々な販売店でキャベツサイダーの反応を調査すると、人気はあるものの店舗の方もお客さんも瓶が重くて困っていることが明らかに。そこで2018年には、群馬が全国シェア約9割を誇るこんにゃくを使った商品、“キャベツこんにゃくゼリー”を誕生させます。こちらも売り上げが好調で、農家の方は「大切に育てたキャベツを無駄なく使ってくれた」と非常に喜び、メンバーは今まで以上に仕事にやりがいを感じていったといいます。

プロジェクトが始まり、責任感が強くなった人、前向きになった人、チーム外には参加希望者も出てきており、社内は今まで以上に活気が。一方、まだまだすべての廃棄キャベツを使い切っておらず、彼らの挑戦は“廃棄キャベツ0”まで続けられるといいます。捨てられていたものだからこそ自由な挑戦を可能にし、社員のモチベーションアップにまでつながったみまつ食品の好事例は、ものを作る多くの企業で参考になりそうです。

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