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ロッテリア × ジビエ

まちのファーストフード店から、
山間の獣害対策を。

野生動物によって森林や田畑を荒らされる獣害が、全国の中山間地で深刻化しています。特に、甚大な被害を引き起こしているのは鹿。その原因はニホンオオカミの絶滅、ハンター※1の減少や高齢化、耕作放棄地の増加などさまざまなことが挙げられます。獣害の認知とジビエの需要拡大などを通じて、被害を食い止めようと立ちあがったのが全国に約370店舗を展開する「ロッテリア」。今回、ロッテリア マーケティング部 部長 緒方高行さんにお話を伺いしました。


野生動物による被害の実態とは?

かつて長閑な田舎といわれていたエリアで野生動物の被害が多発しています。それは、ある森林ジャーナリストが「山間の集落に行くと柵だらけ。まるで監獄のように見える」と表現するほど住民が警戒するもので、収穫前に農作物を食い荒らされたことで作付け意欲が奪われ離農する人もめずらしくないといいます。

農林水産省の調査によると、鳥獣による農作物の被害額は約161億円、被害面積は約43,000ヘクタール※2。なかでも鹿によるものが最も多く被害額は約56億円※2というデータが発表されています。また、捕獲したほとんどが現場に廃棄されおり、利用率は鹿が14%、猪が5%ほど※3に留まっています。

獣害の影響<デメリット> ジビエの活用で期待できる効果<メリット>
農山村地域の衰退

農作物被害→ 営農意欲の減退 → 耕作放棄地の拡大

農作物被害の低減
埋却や焼却処理の負担

埋設:作業負担や場所の確保

焼却:施設で裁断作業を求められる など

農山村地域の所得向上

農泊・観光・外食・学校給食・ペットフードなどでの利用

 

 

ジビエ利用が進まないのは、なぜ?

日本では縄文時代から野生動物が食べられていおり、仏教伝来で肉食が禁止になったときも牡丹や紅葉という隠語で鹿や猪が食べられていました。一方で、家畜ではない野生動物は計画的・安定的に数量を確保することが難しいほか、全国で統一された品質基準、加工マニュアルが普及しておらず、加工・流通ルートが確立しているエリアはごくわずか。古くから明確なルートがあるのは、猪肉を牡丹鍋として飲食店や旅館などで提供してきた兵庫・丹波篠山くらいといわれています。

ジビエ販売までの流れ 問題点(2018年以前)
1、狩猟・駆除 計画的・安定した数量を確保することが難しい。
2、食肉加工処理施設 全国統一で品質基準が整備されておらず、安心・安全のイメージが弱い。
3、製品加工施設 製品加工のマニュアルや品質基準も普及していないため、加工を請け負う企業や施設が少ない。
4、飲食店や小売店など 一般消費者にお届けする販売チャネルが少ない。

 

ファーストフードで、ジビエの裾野を広げる。

そこで、ジビエ普及の一躍を担うべく考えられたメニューが、鹿肉を使ったハンバーガー。もともとは、2016年に地産地消をコンセプトに北海道のエゾ鹿をつかった「エゾ鹿バーガー」を開発。当時はインバウンドを含む観光客の取り込みや地元密着を目的に、北海道の7店舗のみで販売をしていました。

その後、2018年に農林水産省が食肉加工処理の安全基準を標準化するための「国産ジビエ認証制度」を制定し、日本フードサービス協会や日本ジビエ振興協会、ロッテリアの3団体が協力しながらその制度を浸透させることに尽力。狩猟から食肉加工処理までの流れを整えながら、ジビエの生産量拡大へとつなげていきます。それにより、共通の品質・安全基準をクリアした食肉加工処理施設が増え、以前よりジビエ原料の調達が容易に。2019年からは、北海道に限らず全国138店舗での展開に踏み切っています。

ジビエ初心者も「おいしい」「また食べたい」と思えるような味わいに。

『フランス料理でおなじみの鹿も、日本の家庭では一部の地域を除くとあまり浸透していない食材です。これをどうやって抵抗感なく、おいしく食べてもらえるかに注力し、パティは鹿肉を敢えて約6割に留め日本人になじみのある牛肉と信州黒毛和牛脂を混ぜ合わせています。そして、パティやソースに数種類のスパイスを入れて鹿肉の旨味を感じてもらえるように仕上げました』(緒方さん)

さらに、多くの飲食業がジビエの取り扱いが少なかったコロナ禍に、ロッテリアでは取扱を全国約370店舗に広げます。同時に、ファーストフード店らしくトレンドを意識し、昨年9月に販売したバーガーは食欲の秋を、11月のバーガーはXmas・年末年始シーズン意識したプチ贅沢といったような商品設計に。各シーズンの気分を高めることで、ジビエ初心者でも興味が湧くようなきっかけをつくっています。結果的に新規顧客が増え、9月に販売したバーガーは当初3カ月で販売予定だった量を約1カ月間で完売。さらに、地方自治体や学校関係者などから数多く問い合わせを受けています。

左は20219月に販売した「ジビエ鹿肉バーガー(ラグーソース)」、右は同年11月販売の「ジビエ 鹿肉バーガー(3種きのこのコンフィと北海道チーズ)」。どちらも数量限定商品。

多くの人が暮らしを見直したタイミングであり、外食が難しいなかでも新しい味を求めていたコロナ禍に、身近で気軽に立ち寄れるロッテリアがジビエを大々的に発売したことはその需要拡大に抜群のタイミングだったのかもしれません。ジビエのサプライチェーン拡大に尽力するロッテリアは、今年も新作ジビエバーガーを全国43 店舗で限定販売しています※4。次々と新しい楽しみ方を提案するロッテリアからこれからも目が離せません。

※1 狩猟免許所持者
※2農林水産省「全国の野生鳥獣による農作物被害状況について(令和2年度)」https://www.maff.go.jp/j/seisan/tyozyu/higai/hogai_zyoukyou/(最終閲覧 2022/1/17)
※3 農林水産省「食料・農業・農村白書」(令和2年度(令和3年5月25日公表)
https://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/r2/r2_h/trend/part1/chap4/c4_5_00.html?words=%E3%82%B8%E3%83%93%E3%82%A8
(最終閲覧 2022/1/17)
※4 2022 年1月13 日(木)から全国43 店舗で数量限定販売。

<2021年協力施設>富士高原ファーム(長野県)、オーガニックブリッジ(千葉県)、丹波山村ジビエ肉処理加工施設(山梨県)、清流ジビエフードサービス(岐阜県)、美作市獣肉処理施設(岡山県)、わかさ29工房(鳥取県)、祖谷の地美栄(徳島県)、ゆすはらジビエの里(高知県)、TAG-KNIGHT(大分県)、宇佐ジビエファクトリー(大分県)、日田市獣肉処理施設(大分県)、 西米良村ジビエ処理加工施設(宮崎県)、屋久島ジビエ加工センター(鹿児島県)、ジビエ食肉処理施設大幸(鹿児島県) ※順不同


株式会社ロッテリア
本店所在地:東京都新宿区西新宿3-20-1
URL      :https://www.lotteria.jp/

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